・便器に頭を突っ込んで ~野狐禅~
最初はやっぱきよしろーかな、ビートルズかな、とか「あいうえお順に・・・」とか思ってたんですがまぁ難しいこと考えずに身近にあるやつから書いてみようと。
電車内で書くことが多いかと思うのでそのときの気分でばらばらに。
ってことで、「便器に頭を突っ込んで」ってミニアルバムです。
【竹原ピストルさん】
今テレビCMでも「よーそこの若いの」が流れまくってる竹原ピストルさんが、ソロになる前にやってたユニット、野狐禅。
もうほんとに人生とはなんぞや、自分が生きている価値とはなんぞや、とかそんなことを心底悩んで、人が怖くて。
そんな中二全開の頃に、野狐禅とSIONにずいぶん救われた。
今のピストルさんももちろんめちゃくちゃかっこええんやけど、あの頃の野狐禅はほんとうに背中をばっちり支えてくれてた自分にとってかけがえのない音楽だった。
今聴いてもあの頃を思い出して甘酸っぱくはなれど、あの頃のように身震いして走り出したくなるような感覚は取り戻せない。
音楽というのはやはり自分の人生に寄り添って色づけてくれるもので、その瞬間にしか感じれないものがあるんだなぁ。
【野狐禅の名をしる】
野狐禅の名前を知ったのは、当時よくライブに足を運んだかっこいいインディーズパンクバンドが全国ツアーファイナルのオープニングアクトに野狐禅を選んだことだった。
仲間内でもえ??だれだれ??ってなって、バンドのメンバーに聞いたら「めちゃくちゃかっこええねん」って言うから気になって、そのライブに足を運んだ人間も絶賛するもんで、気になって仕方なくてでも大阪でライブ見る機会もなく友人に音源を買ってもらった。
【便器に頭を突っ込んで】
このミニアルバムはインディーズ。
Atsugua Recordsさん。
わお、ピストルさんソロになられてからもこのレーベルから出されてますね。
おっ、COIL、レピッシュのマグミさんの別ユニット、サンプリングサン、Drストレンジラブ・・・えっ、山崎まさよし!?
すごいレーベルや。
なにより野狐禅の解散ライブアルバムもここからリリースと知りなんかぐっときた。
野狐禅が最初と最後を鳴らしたレーベルさんなのか。
発売は2002年7月。
深夜のライブハウスを借り切って収録されたっていう、当時のふたりの想いがぎゅっと詰め込まれた作品。
ほとんどの曲はメジャー1stに再録音されてて、正直かっこよさだけなら僕はGENTAさんってめちゃくちゃかっこいいドラムさんが入ってるメジャー1stのほうが好きだった。
けれどこの音源にはなんか甘酸っぱさとかいろんなもんが詰まってるし、やっぱりこの段階でちょっと違うんよな。
収録曲は
・便器に頭を突っ込んで
・金属バット
・少年花火
・さらば、生かねばならぬ
・初恋
・君の瞳は何を見てるの
【便器に頭を突っ込んで】
正直そんなにがつん、とこなかったのが当時の思い出。
ゆっくりとしたリズム、少ない言葉数、絞り出すような歌。
改めていま聞き直すと、すごくピストルさん。
「かもめ」を聴いてこういうピストルさんの曲のすごさをやっとこさ理解できたんやろな。
「何ができる?」
「・・・何かできる」
「生きて、何がある?」
「・・・生きて、何かある」
イースタンユース聴きたくなった、こんな歌詞あったよね。
いやへんな意味やなく。
野狐禅、音源の1曲目としてすごく合ってると今思えるよになった。
大人になったなー。
【金属バット】
1stにも入ってるんですが、そっちのほがAメロのかろやかさ、からのサビのおららー!!って勢いのギャップが心を動かされて好きです。
それでも当時はこの歌詞にぐっときてました。
ねぇ 神さま 喜びと悲しみをせめて替わりばんこにしてくれよ
野に咲く花にカメラをかまえれば
「そんなことしたら、散ることができないじゃないか」だとよ
きれい事はうんざりだ
【少年花火】
言わずとしれた、メジャー2枚目のシングルにもなった名曲。
毎年夏がくれば思わず聴いてしまう、僕のなかの「桑田圭祐 祭りのあと」「ジッタリンジン 夏祭り」と合わせての夏の定番ソングです。
ええおっさんになってもちょけていきってた中学時代に戻らせてくれるすさまじい曲。
語るように、歌う。
ゆったりと言葉を、少しだけ紡ぐサビ。
そして、ラストに向かって吐き出していく感じが、思い出の回想~今の自分への叫びに思えてあわわわわ、と受け止めるのがしんどくなってしまってたあの頃。
いつからか素直に聞けるようになったのはきっと何かを諦めて、ここにいるんだろな。と思ったりも、それ以上に今大切なものを見つけたのだ、と思ったりする。でも自分の中で野狐禅の存在は決して忘れて良いものではないので、いつだって葛藤する。
とにかく名曲なのです。
例えば騒音を撒き散らし走り抜けていくバイクの少年は
恥ずかしながら いつまでたっても僕のヒーローなんだ
母ちゃんはいつも「いい加減大人になりなさい」と僕に言うけど
安心してください 僕はもう彼らの輝きを直視できない ダサい大人になれましたよ
【さらば、生かねばならぬ】
これまた名曲。なんなの名曲。
今でも思わず口ずさんでしまうAメロからの、「さらば、生かねばならぬ」と繰り返すサビ。
これもAメロ、メジャー1stのほうがはねた感じで楽しいんですが、この曲に関してはどっちのアレンジも好きです。1stよりちょっとべたっとしてシンプルなリズム。
1stの唄ってる感じと違い、ピストルさんの日記を聴かせてもらってるような感じがして好き。
歌で稼いだ金 全て酒にかえて
焦点の合わない目で 君に別れを告げる
君は悲しむどころか「パンツぐらいはきなさい」と
意味もなく全裸の僕を笑っていたよ
君にもらったハンカチで僕はケツをふく
君にもらったやさしさを「食えねぇモンはいらねぇ」と拒む
天才や。この人の詩の力に心底ぶちのめされた。
【初恋】
メジャー3rdシングル。
これ、再録されたなかで一番アレンジかわってる。
で、再録分はダウンタウンまっちゃんも評していた、絶賛名曲なんですが、個人的にはこのアレンジはあんまり響かず。
でも歌詞は同じ。破壊力抜群。
この曲は端から端まで詩が好きすぎて抜粋できず・・・
【君の瞳は何を見てるの】
濱野くんの曲。ボーカルはピストルさん。
ピストルさんのピンポイントにスポットを当てた曲と(それが人生や葛藤っていう広い定義の言葉がテーマでもなんかピンポイントでスポットがあたってるイメージ)違って、この曲は広い。大きく広がってくイメージ。
アルバムのラストらしい。ゆったりした曲。
【ライブにはじめていった】
結局ライブを見れたんは次の年の秋で、自殺志願者が線路に飛び込むスピードと少年花火のシングルを買った。
シングルはカップリングもよかったなぁ今手元にないけど高校三年生(少年花火のカップリング)は特に聴いてた記憶がある。
あの日はミナミのライブハウスでたしか406って知り合いのバンドが出てたからちょっと早めにライブハウスに行ってやいやいビールのんで。
トイレでしょんべんしてたら横でピストルさんしょんべんしてはった。
テンションあがって互いにしょんべんしながら声かけるっていうめちゃくちゃ失礼なことしてトイレの中で一緒に写真とってもらった。
めちゃ失礼やったな。
あれからなんやかんやとライブ行ってお話する機会はあれど、あのときのことはしっかり記憶にあるなー。
うわ。めちゃ怖そうな風貌や。声かけて大丈夫かな。出番前で集中してはるんちゃうかな。とかめちゃくちゃ悩んで声かけてみたら、ちょっと照れた感じの、この人絶対めちゃくちゃ優しいひとや、て伝わる笑顔で対応してくれた。今みたいな満面の屈託のない笑顔に比べると、またちがう、いやそらそや、なれない大阪で、いきなりトイレで声かけられたら
あの日見たライブで興奮するっていうよりもなんか刺さったんや。
ずこーん!って刺さった。
どんな過激な言葉が並べられても、あの笑顔を見てしもたあとなもんで、生きることに真摯で、愛が溢れてる人やから紡げる言葉なんやと知ってしまったんだもの。
そっから大阪にあるライブは一通り行ってるんじゃなかろか。
それから形はかわったり支えてもらう割合はかわりつつ、ずっとピストルさんの歌に頼ってしまいながら今でも生きている。