【アルバムレビュー】さよならストレンジャー ~くるり~
前回のブログでハンバートハンバートの佐藤良成さんとくるりの岸田さんの対談を読み直して、あぁくるり聴きたいなってなったので、「東京」を聴いています。
「ワルツを踊れ」がインタビューで話題になってたし、あれ大好きなアルバムなんですがなんて理由もなく今回は「さよならストレンジャー」の話です。
10代~20代のあたまにかけて、くるりを毛嫌いしてました。
当時デビューでえらい騒がれてたのを覚えていますが、当時パンクべったりで「俺は音楽で生きていく」って全身タトゥーの人たちのライブに通っていた僕には、僕はそのへんのにいちゃんが音楽やってる、って風貌だけで「逃げ道作りやがって」みたいな変な怒りをもっていたのです(といいつつ、当時大好きだったハイスタは、普段着でパンクを、みたいなノリで出てきたからまぁ自分のなかにも芯がなかったんですな)。
弾き語り、ブルース、レゲエ・・・どんなジャンルにしろ自分の中で「パンク」を感じれる音楽、というのをラインを引いてた。
【BPM早くない音楽なんていまいち!という残念な時代】
で、「東京」はよく流れていたので耳にしたことがあったのですが「早くないしドラムががちゃがちゃしてない」「ボーカルは声が擦れるくらいに熱を込めろよ」などと、当時の非常に狭い音楽観で、距離を取ってしまった。
いやはや、自分で書いてて恥ずかしいくらいの見聞のなさよ。
それからわずか数年「バラの花」が売れたころ、僕も音楽の幅が広がったのか、「あっええな」って思って友達にくるりの野外ライブに誘われて最後に見た「ワールドエンドスーパーノヴァ」のループ感にクラブにいるような感覚になってめちゃくちゃ踊った。で、これは聴かず嫌い、と聴きなおしたのが「さよならストレンジャー」だった。
でもまあびっくりした。
聴かず嫌いだめね!これええアルバム!
すとん、と聴けた。
当時自分を走り出したくさせてくれる音楽ばっかり好んでいた自分に「散歩するのもいいよね」と言ってくれた気がする。
【さよならストレンジャー】
くるりのアルバムって最初から最後までええアルバムでしたね!って言える人ってどこまでいるのかしらと思うんです。
くるりの岸田さんの音楽の志向はやはり僕には気高いというか遠い世界のようで「なんとなく良いけど。。。よくわからん」って曲が半分くらい。今でもそれは続いている。岸田さんと同じ音楽感性で、ジャストなタイミングでその音源と出会う人ってそんなにいないんじゃないかなーと自分のまわりの人とくるりの話をしてても思うんです。
そんな中このアルバムはほんと、最初から最後まで聴きやすい。
で、単純でつまらないアルバムなのかっていうとそうでなくて、歌詞に耳を澄ませてきいても楽しい、次の回はバックでどんな音がなってるかなどんなリズムを刻んでるかな、と聴いて楽しい。
僕にとっては聴けば聴くほど発見があって、でもって聴きやすくて女の子なんかにお勧めしたらモテそうな、そんな音源だった。
ミドルテンポで心地よい曲が並ぶ。はっぴいえんどと比較されることが多かったのもわかる気がする、聴きやすいけどちょっと癖のある曲たち。
今回久々に聴きなおしてもやっぱりいいアルバム。
これが「1999年発売」・・・18年前!?嘘みたい。
・好きな曲のことを
【虹】
この曲大好き。「錆びた線路際 涙枯れた六地蔵」ってとこがはまった。
最初から最後まで完璧。なんで東京よりこっちが注目されへんねやろか、ってほんま思ってた。
【オールドタイマー】
自分がくるりを聴くことにおいてすごく大事だった曲。
どこがって?・・・リズムが早いから笑。
すごく自然に聴けて「あっ、くるりこんな曲もするんや」っ一気に距離が縮まった気がした曲です。
【さよならストレンジャー】
これまた名曲。最初聞いたときはゆったりしすぎてせっかちなもんで飛ばしたと思う。けどリピートで流してたときに「あれ・・・これめっちゃええ曲や」と気付く。
【東京~アルバムミックス~】
言わずと知れた名曲。で、今になって聴いてもまったく色あせず名曲やからほんまにびびってしまう。僕は恥ずかしながら大都会東京で暮らしたことはないのに、なぜか感情移入してしまうし最後はちょっとぐっときてしまう。
で、これまたあるあるかもしれないですが、仕事なんかで東京に行くとついつい口ずさんでしまう。この曲と長渕剛の東京朝焼純情物語。
この曲の情景観とリズム、緩急にすっかりやられてしまったのです。
【7月の夜】
Aメロの感じも好き、各パートのラストの裏の取り方とかのはずされ感が好き。
からもサビでのぐっとこさせる感じ。ええなぁ。
【ブルース】
「夜更かしはつらい なぜって朝が来ない」ってフレーズが大好き。
くるりブームふたたび、です。
色々聴きなおしてみよーっと。